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「農福連携」で収量増、出荷も安定

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農福連携(農業と福祉の連携)とは、障害者が農業分野での活躍を通じ、自信や生きがいを持って社会 参画を実現していく取組です。 農福連携の取組は、障害者の就労や生きがい等の場の創出となるだけでなく、農業就業人口の減少や 高齢化が進む農業分野において、新たな働き手の確保につながるものです。

農業者が福祉事業所と協力し、障害者が農作業に参加することで、農業における労働力不足を補う

千葉県のJA長生は、地域の農業と福祉を結びつける「農福連携事業」に力を入れています。この事業は、農業者が福祉事業所と協力し、障害者が農作業に参加することで、農業における労働力不足を補うことを目的としています。現在、九つの福祉事業所と連携し、ネギやタマネギの農家約10名が、収穫や出荷の調整作業に福祉事業所の利用者を活用しています。農家にとって、規模拡大を目指す中で労働力の確保は大きな課題となっており、この取り組みへの期待が高まっています。

JA長生管内では、農業者の減少や休耕地の増加による生産量の低下、生産額の減少などの問題に直面しています。これらの課題を解決するために、農家の規模拡大や新規就農者の経営発展が重要とされています。特に、農福連携事業は労働力不足を解消するための有効な手段として位置づけられており、今年で4年目を迎えました。

白子町でタマネギと葉タマネギを生産している仲田吉範さんは、農福連携事業の利用者の一人です。彼は就農7年目で、夫婦で農業を営んでいます。機械化を進めて規模を拡大してきましたが、作業負担が大きい時期に人手が足りず、JAからこの事業を紹介されました。福祉事業所の利用者の協力で、栽培面積が倍以上に増え、収量の増加と安定出荷が可能になりました。仲田さんは、「福祉作業所の利用者は想像以上に丁寧で正確に作業してくれる。労働力不足の中、大変助かっている」と感謝の意を示しています。

また、福祉事業所側からもこの取り組みは好評です。「利用者が外での作業を楽しんでいることが一番うれしい」「作業が気分転換になり、やりがいを感じている」という声が多く、農業が就労の機会だけでなく、生きがいづくりの場にもなっています。さらに、近隣の福祉事業所と連携することで、地域での関係づくりが強化され、地元農業への関心も高まるなど、地域全体に多くのメリットがあります。

新規就農者の中には、他の地域から移住してきた人も多く、地域住民との関わりが薄い場合があり、雇用者を見つけることが難しいことがあります。こうした背景から、JAでは「地域の一員として、障害者と共に地域を支えていく」という考えのもと、新規就農者を主な対象として農福連携を提案し、労働力不足の解消に取り組んでいます。

今後、JA長生は地域とのつながりや新規就農者への支援をさらに強化し、取扱作物の拡大を目指して農福連携事業の一層の発展に力を入れる予定です。これにより、地域全体で持続可能な農業の実現を目指していく方針です。

参考:日本農業新聞